- Dec.12
2015 - 分数不等式 (問題編)
分母にも未知数を含む分数形の不等式です。
分母にも未知数を含む分数形の不等式です。
絶対値記号で表される方程式と不等式は, 一般には「絶対値記号内の正負で場合分け」をするのが基本ですが, 場合分けを回避して解を求めることもできます。ここではその方法を考えていきます。
(1) 例えば, 方程式 \(|\,x\,|=1\) の解は, \(x=\pm 1\) です。これにならってどのような実数 \(a\) の場合でも
「\(|\,x\,|=a\) の解は \(x=\pm a\)」 \(\cdots\cdots\) (★)
となるかと言えばそうはいきません。(★) が成立するのは \(a\geqq 0\) のときだけです。\(a\lt 0\) のときは「解なし」になってしまいます。
このことをふまえて解くと次のようになります。
(ii) \(x^{3}-5x+2=-(x^{3}+1)\) を解くと,
\(2x^{3}-5x+3=0\)
\((x-1)(2x^{2}+2x-3)=0\)
∴ \(x=1\), \(\displaystyle\frac{\,-1\pm \sqrt{7}\,}{2}\)
この中で①を満たすものは,
\(x=1\), \(\displaystyle\frac{\,-1+\sqrt{7}\,}{2}\)
である。
以上より, 求める解は,
\(x=\displaystyle\frac{1}{\,5\,}\), 1, \(\displaystyle\frac{\,-1+\sqrt{7}\,}{2}\) (答)
(2) 方程式の場合と同様に, 実数 \(a\) に対して不等式 \(|\,x\,|\lt a\) が成立するにはまず \(a\geqq 0\) でなければならないと考えてしまうかもしれませんが, 次の例はどうでしょうか。
\(a=1\) の場合は,
\(|\,x\,|\lt a\ \iff -a\lt x\lt a \cdots\cdots\) (☆)
が成り立つことはわかりやすいですが, 実は \(a=-1\) の場合も (☆) は成り立っています。なぜなら, \(a=-1\) の場合は,
左辺は \(|\,x\,|\lt -1\) となりこれを満たす実数 \(x\) は存在しません。
右辺は \(-(-1)\lt x\lt -1\) となりこれを満たす実数 \(x\) も存在しません。
このようになるからです。つまり, (☆) は \(a\) の正負に関わらずいつでも使ってよい式なのです。
(1) と (2) は方程式か不等式かの違いですが, これは「不等式の方がやさしい」といった大変珍しい場合なのです。
(注) (☆) の事実を「示してから使え」とする場合が全くないとは言えません。
この不等式の解は次のように求めることができます。
\(x^{3}+x^{2}-1\) の正負に関わらず, 次のように変形できることが重要です。
絶対値記号を含む方程式と不等式の解を求める問題です。まずは次の問題を解いてください。
2015年12月7日に文科省が民間業者等説明会を開いた。これは、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の実施、運営を民間業者に委託する(現段階では決定ではない)場合に民間業者が参画できるように説明する会である。
以下に、その概要を記しておく。なお、この会議自体は外に向けて開かれた会議であり、全国から様々な団体が参加していた(団体の重複も含めて300名はいたのではないか)。
【1】 高等学校基礎学力テスト(仮称)とは
まず、この試験の基礎知識を確認する。
平成35年度から次の新課程カリキュラムが開始されるが、その前段階としていくつかの改革が先行実施される。その一つに大学入試センター試験(以下、センター試験と記す)の廃止があげられる。もともとはセンター試験の廃止は新課程とは独立な議題であったのだが、いつの間にか新課程の前段階の改革の一部となったような感がある。
さて、センター試験の廃止とともに新しい2つの試験が実施されることになった。その1 つが、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」(以下、「基礎学力テスト」と記す)であり, もう一つが「大学入学希望者学力テスト(仮称)」(以下、「学力評価テスト」と記す)である。この2つの試験は性格および目的が異なる。わかりやすいのは、後者の「学力評価テスト」である。これは実質的にセンター試験の後継試験と考えればよい。ただし、全く同じというわけではなく、詳しくは別の記事として書く予定である。これに対し、少しわかりにくいのは「基礎学力テスト」である。
「基礎学力テスト」とは、高等学校の現場で高校生が基礎力がきちんとついているかを確認するテストで、今のところ、高校2年あるいは3年のときに実施する試験である。3年のときに行なうにはいくつか問題点があるので2年のときになる可能性が今のところ高い。
表面的には「高校生が基礎力をついているか」を確認する試験であるが、裏の目的としては、高校現場で高校の先生がきちんと指導要領を守って教えているかを調べるという意味もある試験である。文科省では、基礎学力テストは当面は大学入試選抜の目的では使用せず、指導改善のために使いたいと言っている。
一方、現在、高校生を多面的に評価しようという動きが強まっている。それは、ペーパーの試験だけではなくいろいろな観点から高校生を評価するというもので、その一つが基礎学力テストという考えである。
また、高等学校教育において PDCA サイクル (Plan → Do → Check → Action → (Plan に戻る)) を構築したいと考えており, 基礎学力テストはこの中の Check の部分と考えている。
【2】実施概要
実施については詳しくはこれから決まることで、今、はっきりと決定している具体的な内容はほとんどない。しかし、文科省側としては大枠の考えはある。
まず、実施に当たっては次の問題をクリアーしなければならない。それは、
(a) テストの妥当性・信頼性
(b) テストの価格
(c) 受験場所
(d) 安定性・継続性
(e) 文科省の直営か民間主導か
である。
次にテストの科目であるが、平成31年の試行試験開始から3年ほどは、国語総合、数学I、コミュニケーション英語I の3教科3科目で実施したいと考えている。数学については「なぜ数学Iだけなのか」という疑問もあるだろうが、数学Iだけがすべての高校生(農業高校、工業高校を含む)に共通な科目であるからである。他の教科も同様の理由である。こう考えると今更ながら、すべての高校生が共通して学習している科目が少ないことがわかる。
現在、実施方法としては、文科省は学校単位の参加が望ましいという考えをもっている。もちろん、個人での参加も認めるとの方針である。
さらに、CBT の利用を積極的に進めたいとのことである。その場合の問題点は、全国同一の PC あるいは OS が望ましいとのことであるが、そのためにはこれから膨大なインフラ整備が必要となるだろう。関連業者は今後目を離せないことになる。
なお、この試験のセキュリティーの件では、これまでの「センター試験」および今後の「学力評価テスト」レベルのものは要求しないとのこと。これは、文科省の人がはっきりと言ったわけではないが(文科省の人がいい加減でよいと言えるはずがない)、それを匂わす発言をしていたことはこの会に参加していた人は見逃さなかったはずである。例えば、センター試験の問題の作成は大学教員に限られ、しかもさらに厳しい条件がある。ところが、この基礎学力テストについては、高校教員も参加してもらいたいとのことである。また, 全国一斉でなくてもよいという考えもある。
学校参加の場合、年に複数回行うとすれば、各高等学校で正規の授業内に組み込むか期末試験のようにすることも考えられるとのこと。1回の試験で各教科50~60分の試験を想定しているとのこと。平成31~34年の試行実施のときは、その結果を大学入試、就職活動には使わないということを断言している。しかし、多くの人が受ける試験となれば、今後は重要な生徒の資料であるから、利用できるものは使うべきとなることも十分あり得る。
問題の難易については、文科省側では「この試験は相対評価ではなく絶対評価である」と言っており、難易の設定は教科書程度の内容がきちんと理解できているかが把握できるレベルである。したがって、一部の進学校ではほぼ全員が満点になるような試験で、今のセンター試験よりはかなりやさしく、せいぜい教科書の章末レベルと予想される。
【3】民間業者の参入について
今回の改革では、文科省は近年で最も真剣に改革に取り組んでいる感がある。また、高校教育改革(に限らず教育全般)に大きな夢と理想をもっており、それについては多くの人が賛同できる内容であるが、いざ実施となると難しいものも多い。この基礎学力テストについても例外ではなく、例えば、記述式の試験の導入についても、一言で記述と言ってもかなりの幅があることと採点・評価が手間がかかることに(もしかして最近)気がつかれた様子があり、夢の実現にはかなりのバイタリティがなければ苦しいことがはっきりしてきた。そういうこともあり、民間の力も借りてこの基礎学力テストを実施することが重要となる。文科省の姿勢としては、民間業者に対しては「上から目線」という感じではなく、welcome という姿勢で「All Japan で改革をしていきたい」という姿勢なので、このような様子からも今までとは違う文科省の姿勢を感じた。
さて、この会議に参加した民間業者はかなり多くいた。もちろん、参加者がすべて民間業者というわけではないが、横12名縦30列くらいの部屋が埋まっていた。ただ、一つの業者から3名参加しているところも多数存在した。言い方はよくないが、この会議に参加した民間業者の鼻息は結構荒い。
【4】 個人的な意見
まず、この試験を高校生目線でとらえたときに、あまりメリットは感じられないというのが現状での問題点かもしれない。この試験を受けなければセンター試験のように大学に進学できなくなるわけではない。また、期末試験のように受けなければ成績評価に影響するわけでもない。さらに、高校1年のときに習う数学Iを高校2年以降に受験するとなると、人によっては高校1年の段階で数学と離れる生徒にとっては、高校2年に文科省が気にする「きちんと指導要領通り教えているかどうか」を測ることができるのかは疑問である。
また、せっかくこのような試験を導入するのであるから、良問を与えていきたいと思う。どのような試験でも一度制度が確立されると、その試験のために勉強する高校生が多数現れ、それを機に高校生をよい方向に誘導するチャンスになる。
さらに、今回、民間参入を考えている業者の中で実績を強調しているところもあるが、実績があるかどうかは逆にその業者がどのような問題を作れるのかがわかるよい機会なので、単に実績があるかないかだけで判断せず、慎重に民間参入を進めるべきと考える。
高校数学を考える上で前提となる基本知識をここで確認します。
私の個人的な意見も多少含まれます。
【1】科目の構成の基本
文科省の指導要領上の現行カリキュラムでは, 高校数学の科目設定は次のようになっています。( ) 内は単位数です。
「数学 I (3)」, 「数学 II (4)」, 「数学 III (5)」, 「数学 A (2)」, 「数学 B (2)」
これ以外に「数学活用 (2)」という科目があります。
この中で, 数学 I と数学 A および数学活用は中学数学を理解していれば学習可能となっていて, それ以外は,
「数学 II」および「数学 B」は「数学 I」の履修が条件
「数学 III」は「数学 II」の履修が条件
となっています。
ここまでは学習指導要領上の説明ですが, 実際はそうなっていないところもあるので注意が必要です。
例えば, 「数学III」で数列の極限を扱いますが, これを理解するには「数学B」の数列の知識が必要になります。そのようなところはまだいくつもあります。
建て前上は, 「数学 A」と「数学 B」はその中の 3 項目から 2 項目を選択すればよいということになっているので, 例えば「数学 A」であれば, 場合の数と確率, 整数の性質, 図形の性質から 2 項目を選択すればよいということになっていますが, どの 2 つを履修してもよいので, 数学 A の試験を入試で課す場合はあらかじめどれを履修しておくかを指定するか, どの 2 つを履修してきても対応できるような選択問題を含む問題を作成しなければなりません。ただし, 現状は多くの大学は, 数学 A に関しては, 文科省が 2 項目でよいと言っているのに反し, すべてを履修することとしています。ですので, 数学 A は実質 3 単位の教科になっています。数学 B に関しては, 確率分布と統計的な推測, 数列, ベクトルから 2 項目選択することとなっていますが, ほとんどの高校では数学 B を扱うときは, 数列とベクトルを選択し, 確率分布と統計的な推測は扱いません。これはいろいろな原因がありますが,
・大学入試に出題されないこと
・数学 B であるのに, 一部数学 III を必要とする部分がある
・数学 B の他の 2 つの項目(数列・ベクトル)が数学 III の学習の上でも重要である
が主な理由とされています。この項目を数学 III に入れて必修化すればよいという考えもありますが, 当初は文系の高校生にも学習させたいという意向もあり, 数学 B になりました。事実, 統計分野は一部の文系の人たちにも必要な分野です。
【2】 必修科目は数学Iだけ
さて複雑な選択科目ですが, 「だったらすべてを必修にすればよいのでは?」と考える人もいるかもしれませんが, そうはいきません。
一言で「高校」と言っても普通科から農業, 工業, 商業科などさらには音楽高校など高校は多種多様です。例えば, 音楽学校に進み, 将来演奏家を目指す人には「数学II」は必要がないともいえます。もしかすると「数学I」すら不要と考える人もいることでしょう。そこで, 「すべての高校生」に対する「高校」としてのノルマは最小限しておきたいということで, 「高校」での最低限の数学として「数学I」だけが必修となりました。したがって, 平成 31 年から実施予定の「高等学校基礎学力テスト(仮)」の試験範囲は「数学I」のみということになっています。
【3】1 単位
高校の 1 単位の分量とはおおよそ週に 1 時間の授業を行ない, それを年間 35 週授業が行なうことで終える量というのが基本です。
ところが, 実際は年間 35 週授業時間を確保するのは難しく, 特に月曜日は 27 週以下になる学校も少なくありません。そのため, 高等学校の時間割の組み方として, 週に 1 回だけの授業は極力月曜日に入れないとか, 非常勤の講師の授業は月曜はなるべく避けるなどの手法をとるのが基本です。また, 数学 I は本来 3 単位ですが, これを 4 単位にして授業時間数を確保するなどの対策もとられています。
【4】選択科目(「数学 A」「数学 B」) の分量について
すでに説明した通り, 高校での 1 単位の内容量はおよそ 35 時間分です。数学 I, II, III のようにその科目の中の項目をすべて学習するという場合は, その科目の内容量に差があってもかまいません。例えば, ほとんどの教科書は数学 I の「2 次関数」と「データの分析」に使われているページ数は異なります。もちろん, 高校現場でのその項目にかける授業時間数はかなり異なっているようです。
しかし, 「数学 A」「数学 B」のような選択科目ではそのようにはいきません。「数学 A」を例にとってみましょう。「数学 A」は「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」で構成されていますが, どの 2 つを選択しても 35 時間で終わるように文科省側は設計しなければなりません。その結果, この 3 項目はすべて同じ分量である必要があります。したがって, 高校数学としてもう少し詳しく学習すべき項目があったとしてもそこは減らし, また, あまり時間のかからない項目があった場合は, そこにあまり重要ではないことを追加し無理に時間の均等化をはかります。こうしてできたのが現在の数学 A です。ある意味, 苦労した結果できた科目ではあります。
(数学教育の基本 (その2) に続く)
説明をしながら解いていくことにします。
(1) \(x\to\infty\) のとき \(\sqrt{x^{2}+4x+2}\to\infty\), \(\sqrt{x^{2}-2x+5}\to \infty\) であるので, 問題文の極限は「\(\infty -\infty\) 型の不定形」です。したがって, 適切な変形をして不定形ではない形に変形しなければなりません。それは, この場合は「分子の有理化」という操作を行ないます。
次のように得られます。
\(\begin{align}
\displaystyle\lim_{x\to\infty}(\sqrt{x^{2}+4x+2}-\sqrt{x^{2}-2x+5})&=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{(x^{2}+4x+2)-(x^{2}-2x+5)}{\sqrt{x^{2}+4x+2}+\sqrt{x^{2}-2x+5}}\\
&=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{6x-3}{\sqrt{x^{2}+4x+2}+\sqrt{x^{2}-2x+5}}\\
&=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{6-\displaystyle\frac{3}{\,x\,}}{\sqrt{1+\displaystyle\frac{4}{\,x\,}+\frac{2}{\,x^{2}\,}} +\sqrt{1-\displaystyle\frac{2}{\,x\,}+\frac{5}{\,x^{2}}\,}}\\
&=\displaystyle\frac{6}{1+1}\\
&=3 (答)\\
\end{align}\)
(2) (1) では「分子の有理化」を行ないましたが, この問題の場合はそれを行なう必要はありません。次のように解けばよいのです。
\(\begin{align}
\displaystyle\lim_{x\to\infty}(\sqrt{2x^{2}+4x+3}-\sqrt{x^{2}+2x+9})&=\displaystyle\lim_{x\to\infty}x\left( \sqrt{2+\displaystyle\frac{4}{\,x\,}+\frac{3}{\,x^{2}\,}}-\sqrt{1+\displaystyle\frac{2}{x}+\frac{9}{x^{2}}}\right)\\
&=\infty (答)\\
\end{align}\)
答の一つ前の式では, ( ) 内は \(\sqrt{2}-1\) に近づきます。したがって, この極限は, 「\(\infty\times (\sqrt{2}-1)\)」型の極限ですので, 結果は \(\infty\) になります。
(2) は (1) のように「有理化」を行なっても極限を求めることはできるのですが, 「わざわざ」それを行なわなかったのは, 根号内の最高次の係数が異なっているからというのが理由です。もう少し詳しく説明すると, \(\sqrt{2x^{2}+4x+3}\) はおよそ \(\sqrt{2}x\) 程度の速さで大きくなるのに対し, \(\sqrt{x^{2}+2x+9}\) は \(x\) 程度の速さで大きくなるので, \(x\) が大きくなると差が広がっていくというわけです。つまり, (2) は見た目でも極限はある程度予想できるようなもので, 「わざわざ」有理化までしなくてもわかるということです。
ここまでをもう一度振り返ると,
(1) では, \(\sqrt{x^{2}+4x+2}\) と \(\sqrt{x^{2}-2x+5}\) の \(x^{2}\) の係数は一致しています。そのようなときに有理化を行ないます。
(2) では \(\sqrt{2x^{2}+4x+3}\) と \(\sqrt{x^{2}+4x+9}\) の \(x^{2}\) の係数が異なるので, このような場合は有理化をしなくても答はすぐにわかります。
このようになります。
(3) (2) での説明をふまえると, 極限を構成している 2 つの差のうち,
と考えます。次のようになります。
\(\displaystyle\lim_{x\to\infty}(\sqrt{3x+1}-\sqrt{x+2})(\sqrt{2x+5}-\sqrt{2x-1})\)
\(\begin{align}
&=\displaystyle\lim_{x\to\infty}(\sqrt{3x+1}-\sqrt{x+2})\cdot \displaystyle\frac{(2x+5)-(2x-1)}{\sqrt{2x+5}+\sqrt{2x-1}}\\
&=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\displaystyle\frac{6(\sqrt{3x+1}-\sqrt{x+2})}{\sqrt{2x+5}+\sqrt{2x-1}}\\
&=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\displaystyle\frac{6\left( \sqrt{3+\displaystyle\frac{1}{\,3\,}}-\sqrt{1+\displaystyle\frac{2}{\,x\,}}\right)}{\sqrt{2+\displaystyle\frac{5}{\,x\,}}+\sqrt{2-\displaystyle\frac{1}{\,x\,}}}\\
&=\displaystyle\frac{6(\sqrt{3}-1)}{2\sqrt{2}}\\
&=\displaystyle\frac{3(\sqrt{3}-1)}{\sqrt{2}}\\
&=\displaystyle\frac{3}{\,2\,}(\sqrt{6}-\sqrt{2}) (答)\\
\end{align}\)
極限に関する次の問題に取り組んでみてください。解くこと自体は難しくはありません。
今回は, 式変形の手法について扱います。まずは, 次の問題に取り組んでみてください。
これは, 2005 年の東工大の問題です。実際は, (2), (3) があってそれは次のような問題でした。
(2) \(n\geqq 1\) に対し \(a_{n}\gt a_{n+1}\gt 0\) なることを示せ.
(3) \(n\geqq 2\) のとき, 以下の不等式が成立することを示せ.
$$a_{2n}\lt\displaystyle\frac{3\cdot 5\cdots (2n-1)}{4\cdot 6\cdots (2n)}(e-2)$$
今回は, (2), (3) に触れず (1) の変形について解説することとします。
さて, 「示せ」と言っている式は, \(a_{n}\) を \(a_{n-1}\), \(a_{n-2}\) を用いて表す式です。そこで, \(a_{n}\) と \(a_{n-1}\) の関係が必要になることから, \(a_{n}\) および \(a_{n-1}\) を具体的に書いてみると次のようになります。
\(a_{n}=\displaystyle\int_{1}^{e}(\log x)^{n}\,dx\)
\(a_{n-1}=\displaystyle\int_{1}^{e}(\log x)^{n-1}\,dx\)
積分記号内の \((\log x)^{n}\) を \((\log x)^{n-1}\) に変えるには「微分すればよい」と考えて次のように部分積分を行ないます。
\(\begin{align}
a_{n}&=\displaystyle\int_{1}^{e}1\cdot (\log x)^{n}\,dx\\
&=\Bigl[\,x(\log x)^{n}\Bigr]_{1}^{e}-\displaystyle\int_{1}^{e}x\cdot n(\log x)^{n-1}\cdot \displaystyle\frac{1}{x}\,dx\\
&=e-n\displaystyle\int_{1}^{e}(\log x)^{n-1}\,dx\\
&=e-na_{n-1}\\
\end{align}\)
すなわち,
\(a_{n}=e-na_{n-1}\) \(\cdots\cdots\,\)①
が成り立ちます。同様に番号を 1 つ下げることで,
\(a_{n-1}=e-(n-1)a_{n-2}\) \(\cdots\cdots\,\)②
が得られます。
さて, ここからが今回のテーマです。これまで得られている①と②からどのようにして, \(a_{n}=(n-1)(a_{n-2}-a_{n-1})\) を得ることができるでしょうか?
一般に, 「求めよ」というタイプの問題は結果の数値がわかっていません。これに対し, 「示せ」というタイプの問題は結果が与えられているので, 結果の形を観察することで現状から何をしなければならないかがわかる場合があります。式変形においては, 「示せとされる式に含まれる文字」に着目する方法があります。
まず, ①および②に含まれている文字を見ます。それは,
\(a_{n}\), \(a_{n-1}\), \(a_{n-2}\), \(n\), \(e\)
です。これに対し「示せ」とされる式に含まれる文字は,
\(a_{n}\), \(a_{n-1}\), \(a_{n-2}\), \(n\)
です。それでは前者にあって後者にない文字はどれかというと \(e\) です。したがって, ① と ② から式変形のどこかで \(e\) を消去しなければ示したい式には絶対に到達しません。そこで, 求めたい式を得るために「\(e\) の消去」を考えることになります。\(e\) を消去するために今回は ① から ② を引いて
\(a_{n}-a_{n-1}=-na_{n-1}+(n-1)a_{n-2}\)
とし, これを変形して
\(a_{n}=(n-1)(a_{n-2}-a_{n-1})\)
を得ることができます。
以上のように「示せ」という問題に対する方針として, 次のようなものが有効な場合もあるということがわかります。
「示せ」という問題で結論の式が与えられている場合は, 結論の式に含まれている文字に注目し, 残っていてはいけない文字を見つけよ。その文字を消去する方針で計算処理を行なうとうまくいくことがある。
まず, 解答を記します。その後でこの問題の出題意図と人によっては反省材料をお知らせします。
【問題 A – 1 】の解答です。
(1) \( (x^{2}+3x)^{2}+5x^{2}+15x-14=(x^{2}+3x)^{2}+5(x^{2}+3x)-14\)
\( =\{(x^{2}+3x)+7\}\{(x^{2}+3x)-2\} \)
\(=(x^{2}+3x+7)(x^{2}+3x-2)\)
(2) \(f(x)=-\left(\displaystyle\frac{1}{\,x\,}-\frac{1}{\,2\,}\right)^{2}+\displaystyle\frac{1}{\,4\,}\)
となるから, \(f(x)\) は \( x=2\) のとき最大値
\( \displaystyle\frac{1}{\,4\,}\)
をとる。
(3) 与えられた方程式は,
\( (x+2)+3\sqrt[3]{x+2}-4=0 \)
となる。\( \sqrt[3]{x+2}=X\) とおくとこれは,
\( X^{3}+3X-4=0\)
となるから, これを実数の範囲で解くと,
\( (X-1)(X^{2}+X+4)=0 \)
ここで, 2 次方程式 \( X^{2}+X+4=0\) は \( (判別式)=1^{2}-4\cdot 4=-15\lt 0\) より実数解をもたない。よって, \( X=1\) のときの
\(\sqrt[3]{x+2}=1\)
∴ \( x=-1\)
が与えられた方程式の実数解である。
【解説】
今回は, 「数式を塊で見ることができるか」あるいは「数式の構造をとらえられることができるか」というのがテーマです。数式を最初に見たときにどのような構造をしているかを早い段階で把握できるかどうかが問われています。
計算力が弱い人には,
展開癖
が多いという特徴があります。これは, 数式を見るととりあえず展開してしまう悪い癖です。数式は展開することで特徴が見えにくくなり, またその後の収拾がつかなくなることもよくあります。もちろん展開しなければ先に進まないことも多くありますが, むやみに展開すればよいというわけではありません。数式を展開する前にすることがあるということです。
(1) では、\( (x^{2}+3x)^{2}\) を展開してしまった人は要注意です。その後に続く \(+5x^{2}+15x\) を見て, この部分を \(+5(x^{2}+3x)\) とすることが気がつくべきでしょう。
(2) では, \(f(x)\) が \(□-□^{2}\) の形をしていることに気がついてもらいたいと思います。その後の作業は平方完成です。
(3) は \( \sqrt[3]{x+2}\) があることによって, \(x=(x+2)-2\) と見て, \( x+2=(\sqrt[3]{x+2})^{3}\) ととらえたい問題です。もちろん \(\sqrt[3]{x+2}=-x+2\) と変形して両辺を 3 乗する方法もあります。
計算のエチュードの基礎編では, 数式を扱う根本の練習を行ないます。
問題編ではあるテーマに基づいて問題を出しますので、まず各自問題を解いてみてください。解答は原則として翌日に掲載します。
また, 書籍「計算のエチュード」が販売されています。ここに書いてある内容がすべて盛り込まれています。ご一読ください。
【問題 A – 1】
(1) 次の多項式を係数が有理数の範囲で因数分解せよ。
\( (x^{2}+3x)^{2}+5x^{2}+15x-14\)
(2) 次の関数の最大値を求めよ。
\( f(x)=\displaystyle\frac{1}{\,x\,}-\displaystyle\frac{1}{\,x^{2}\,}\)
(3) 次の方程式の実数解を求めよ。
\( x+3\sqrt[3]{x+2}-2=0 \)