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新課程数学の基本 (3)

 新課程カリキュラムの導入で多くの人に衝撃的だったのは、数学Iという必修科目に「データの分析」という統計関連の分野が入ったことだろう。かなり前に統計分野が必修化されていたときもあったが、大学入試においては試験範囲から「ただし、統計的推測は除く」と書かれていることが「普通」で大学入試範囲からは除外されていた。
 しかしながら今回は数学 I の中にあるからセンター試験でも必ずと言ってよいほど確実に出題されるため、無視することはできない。
 さて、この「データの分析」が、受験生にとってセンター試験だけでよいのか、2 次対策も必要なのかによって対応は異なってくる。

ちなみに、大学入試センターが発表した試作問題はここにある。
http://www.dnc.ac.jp/modules/center_exam/content0594.html
この問題についてコメントを少し加えると、この問題は「慌てて作成した」か「問題作りに慣れていない人の作品」である。それは、教科書ではあまり扱わない内容を取り上げていたり、問題文に対する慎重さが多少欠落しているところから読み取れる。

センター試験だけのことを考えれば、対策は難しくはない。また、数学 B でいわゆる「確率分布」の項目を選択する学校は皆無に近いことを考えると、「データの分析」を高 3 まで学習しなくてもとりあえずは困ることはない。
 ところが、2 次試験の出題範囲となるといろいろな状況が考えられる。センター試験は原則として他分野との融合問題はない。例えば、「確率」と「漸化式」の両方の知識が必要な問題は出題できない。しかし、2 次試験の場合はそれができる。その場合、「顔はデーターの分析、中味は論証問題」ということも可能である。
簡単な例を簡単に表現すると
「全員が偏差値が 40 より大きく 60 より小さくなるような試験は存在しないことを示せ。」
(ただし, 人数は 2 以上で、全員が同じ点数である場合を除く)
のようなものもできる。

 数学の教員の中には、「本当にデータの分析から出題されるの? 」とか「でないよね」と言っている人も少なくないので心配になるが、ここで記したようにデータの分析の顔をした問題は出題の可能性がある。

This entry was posted on 月曜日, 12月 16th, 2013 at 2:15 AM and is filed under 教育, 数学. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

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