新課程数学の基本 (4)
新課程になって新しく学習することになった分野には
「データの分析」「整数分野」「複素数平面」
がある。これらは、それぞれ次の点で状況が異なる。
・「データの分析」: これまでにはない新しい分野(と言ってよいだろう)。入学試験で出題された実績も(一部の大学とセンター試験を除いて)ほとんどない。
・「整数分野」: 文科省のカリキュラムとしては新しいが、すでに大学入試では出題されてきた。大学入試においてすでに「独自の文化」が形成されてある。
・「複素数平面」: 1994 年からのカリキュラムからは導入されたが、2003 年からのカリキュラムでは消滅した。すなわち「復活した新しい分野」である。
今回は、このうちの「整数分野」について述べる。
これまでの大学入試おける整数分野は大きく次の 4 つに大別される。
(A) 余りに関する問題 (2^100 を 7 で割った余りは何か?)
(B) 素数と互いに素に関する問題
(C) 整数解を求める問題
(D) 整数の離散性に関する問題
このうち、(C) の問題の
・ 3x+4y=1 を満たす整数 (x,y) の組を求めよ。
・ xy+2x+4y-7=0 を満たす整数 (x,y) の組を求めよ。
程度であれば、パターン暗記でも太刀打ちできるから数学が苦手な生徒でもある程度は何とかなる。新課程では、この(C)に力を入れている。
これまでの大学入試では、「ax+by=c 型」の問題の場合は x,y の係数の小さいものが主であったが、新課程カリキュラムでは、例えば 「71x+39y=1」のように係数が大きい場合も扱うとされている。この場合、最初の 1 個の解を見つけるのが難しく、これはこれまでの課程で高校 3 年生に説明してもなかなか理解してもらえないものである。おそらく、次の改定のときには「大きな係数」の場合は消滅するのだろう。
また、(B) の問題は、カリキュラムの中でははっきりと組み込まれてはいないが、これが出題されたときはつねに論証問題になり難しい。実際、かなり難しい問題を作ることができる。