- Dec.14
2010
- 今度は本気?
以下は、数学教育に携わる人向けの話です。
中学では2009年から新カリキュラムが始まり、高校では2012年から数学の新カリキュラムが始まります。「なーんだ。それだったら、再来年の春の話 じゃないか」と思う人も多いでしょうが、中高一貫校などで中3のときに高校の内容を教える学校では来年の中3から高校の新カリキュラムが始まります。
さて、時代の流れとでも言いましょうか、新カリキュラムでは「データの分析」ということで、いわゆる「統計」が始まります。ところで、この統計は今まで にもありましたが、例えば数学Bの場合はほとんどの場合が「ベクトル」と「数列」を選択するので「統計」は選択しません。数学Cについても同様です。実 際、大学入試でもこの範囲は指定されることは非常に稀です。つまり、統計を勉強しても大学入試にはほとんど役に立たないので当然、「教科書にあるだけで誰 も統計のことなんか知らない」という状態でした。
ところが、今回の改訂では違います。「データの分析」は数学Iの中にあり、全員が必修です。ご存知の方も多いかもしれませんが、どんな高校でも、高校で ある以上勉強しなければならないのが「数学I」ですから、統計を数学Iに入れている意味は非常に大きいわけです。すなわち、文科省からすれば「今度は絶対 に統計をやるように。今までのようにはいかないぞ」という意思表示かもしれません。
ちなみに、「統計重視」の姿勢は中学数学からすでに始まっています。
にも関わらず、「統計は入試で出ないだろ」と考えて、統計の扱いがこれまでと変わらない学校、塾が多いようです。繰り返しになりますが、今回の統計の扱 いは数学Iの中に組み込まれているからにはセンター試験には必ず出題されます。数学Iにあるので、統計を題材にした(統計の顔をした)問題も2次試験に出 る可能性は十分にあるのです。嫌なものは見ないではすまされません。
# 高校数学の中で本当の全員が必修である教科は数学Iです。ちなみに、英語は英語Iだけ、地歴は「世界史A、世界史Bのどちらか一方と日本史、地理のA,B からどちらか一方をとる」のがルールです。
- Nov.30
2010
- 読者感謝フェアー
今年の年末か来年の1,2月に読者感謝フェアーを行なう予定です。
何をするかというと、主要大学の予想問題の配布です。次の書籍をもっている人が対象です。
「数学の幸せ物語」(現代数学社)
「受験数学の理論問題集」の『数と式』あるいは『微分・積分』
これらをもっている人専用のキーワードを送り、PDFで作成した予想問題をGetしてください。
配布は当ホームページで行ない、配布の1週間前に告知をします。
- Nov.28
2010
- バスケットシューズの勧め
長年、教壇に立って今まで試して来たことがある。それは靴。最大で一日10時間の授業を担当することがある生活の中で、やはり立っている時間で一番長いのは通勤時間ではなく、教壇にいる時間である。その教壇にはどのような靴が向いているかが気になっていた。
足が楽なように、サンダルのようなものを履く人もいるが、サンダルは足にフィットしていないので歩くときに余計な力がかかるような気がする。長時間歩く からウォーキングシューズがよいのではとも思えるが、実はウォーキングシューズというのは、前後に同じ動作を続ける分にはよいのだが、左右の動きに弱い。 教壇では、左右に何度も移動するので左右の動きに強い靴が望まれる。
そこで見つけたのがバスケットシューズ。バスケットシューズは前後の動きだけではなく、左右の動きにも実にきっちり対応してくれる。例えば、バスケット シューズを履いていると電車でつり革に捉まって立っているとき、電車が揺れても足が横にカクッとなることはない。また、階段も1段抜かしでかけ降りること もできる。
こんなことで、同じように教壇に立つ人には、バスケットシューズを勧めたい。ただ、難点もある。それは、専門店に行かなければなかなか手に入らないこと と、もともとバスケットシューズは室内で履くようにできているから雨に弱いことだ。私のバスケットシューズは靴の裏に通気穴があいている。
- Nov.20
2010
- 精密な計算と大雑把な計算
高校数学を教えていると、必要でも教える機会が少ないものや足りない部分がいくつもあるのを感じる。その中の1つとして、「計算」にスポットをあててみよう。
試験の答を求めるために計算するときは、「精密な計算」が要求される。例えば、2 次方程式 x^2 -3=0 の解は ±√3 すなわち, ±3^(1/2) であるが、これを 「約 1.73」とか「1.73 くらい」などと書いては数学の試験では点にならないだろう。他にも例は豊富にあるが、ここで詳しくあげる必要はないだろう。
このような「正確な値を求める計算」、すなわち、「精密な計算」はもちろん大切であるのだが、これに対し「大雑把な計算」は軽視されがちな感じがする。ここでいう「大雑把な計算」とは
n が十分大きいとき 3^n は 2^n よりはるかに大きいとか、極限
lim_(x→∞) (x^3 + 2x^2 + 3x +4)/(4x^3 + 3x^2 +2x +1)
については、分母と分子の最高次で決まるとか、
lim_(n→∞) {(1^2 + 2^2 + 3^2 +・・・・+ n^2)(1^3 + 2^3 + 3^3 + ・・・・ + n^3)}/n^a
が 0 以外の値に収束するような実数 a は分子の次数だけを考えて a=7 であるとか。
また、
x>1 のとき x^3 +2x^2 + (x/(x^2+1)) >3
である、のようにきちんと計算しないで大雑把に様子を調べる計算である。
これらは、試験の答案としては書かれることは少ないか、全くない。それは、試験では「正確な値」「精密な計算結果」が最終的に要求されるからである。そ こで、「なーんだ、答案にはいらないのか〜」となってしまって、「最短経路で合格しよう」と思っている受験生には敬遠される。
ところが、これらの「大雑把な計算」は方針を立てる上できわめて重要である。関数 f(x,y)=・・・・ の最小値を求めたい場合に、「なぜ、先に x で微分するのではなく、y で微分したのか?」 とか、というのは、「大雑把に頭の中で先々の計算を見積もってどちらがよいかを判断したからである。
lim_(n→∞) (log(3^n + 2^n ))/n を求めるときに、なぜ最初に
lim_(n→∞) (log(3^n + 2^n ))/n = lim_(n→∞) log (3^n (1+(2/3)^n))/n
のように log 内を 3^n でくくるのかは n が大きいとき 3^n +2^n ≒3^n と考えたからである。
この「大雑把な計算」は大雑把である代わりに早くなくてはならない。いくつかの方針がたつ問題において、それを一つ一つ丁寧に計算してみて、「これはよい」「これはだめ」と判断していたのでは時間がかかりすぎる。
「大雑把な計算」は試験の解答を支える「見えない部分での作業」であるから、問題集の解答を暗記しているだけの勉強では身に着かない。本当は、数学のできる人の解答ができるまでを「生」で見ているのがよいのであるが・・・・。
これらについては、今執筆中の本にも書くので、出版時期がはっきりすればまたこの場で報告します。
- Oct.21
2010
- 新カリキュラム
最近は、仕事の幅が広がりつつあります。その中で、数学以外の指導カリキュラムを理解しなくてはならなくなり、特に理科と地歴には苦労しています。理科 は例えば物理の場合は、物理基礎(2単位)と物理(4単位)に別れ、理系の場合は、「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」から3つ選択するこ とになるようです。先生の人数の確保など多少の混乱が予想されます。
- Sep.30
2010
- 困った先生
すでに twitter 上でも紹介したのですが、ある小学校でこんなやりとりがあったそうです。http://okwave.jp/qa/q5273339.html
話の要点は、ある小学校で先生が 3cm, 3cm, 6cm の長さの三角形を作図せよという問題を出して、その授業を受けていた小学生が「描けません」といったところ、
「確かに、中学、高校では描けないことになっているが、小学校の算数では線分の太さなどの誤差を考えれば描けることになっている!」
と言って、その先生は一歩も後には引かないということなのです。
まあ、この先生に対する非難はここの掲示板に書かれてあるとおりだと思います。
あえて加えるとすれば、
- 「普通」は描けない条件の問題を、太さを考慮すれば書けるとしたことにどのような教育的な配慮があるのか。
- この授業を受けた生徒達が、将来「三辺が 3cm、3cm、6cm の三角形が描ける」と信じたことが原因で、試験などで落とされたり、恥ずかしい目に会ったとすれば、それは自分のせいだとは思わないのか。
ということもこの先生に聞いてみたい感じがします。おなじ教育者として。
実は、私も以前、あるところでこのような先生を見たことがありますが、このようなパターンの場合、自分は「間違っていない」、「こう捉えれば自分の答も正しい」、「数学の解答は一つではない」、「1+1 だって 3 だというときがあるではないか」などと言って、意固地になってしまいます。そして、このような先生は相手が根負けするのを待っている感じです。根負けせずに、こてんぱんに論破すると今度は逆恨みをされます。
私が考える先生の「最低限」の条件とは、
- その教科の十分な知識をもっていること
- 間違えた場合は、それを放置せずに、必ず修正すること
です。予備校、塾の講師の場合はさらに
が追加されます。もちろん、大学、高校などの教員の方にも最後の条件は大切ですが、予備校、塾の先生の場合は「間違ったことを教えない」と同レベルくらい大切なことなのです。
さて、塾であれば、場合によってはこのような先生に関わらない方法があることもありますが、今回の掲示板のように担任の先生だとどうしようもないですね。ただ、今は web 上などで多くの人に聞くことができますから、心配なことがあれば迷わず聞くのがよいでしょう。私も、お助けできればしてみたいとは思っています。
- Aug.01
2010
- へぇー。そうなんだ。
「数学の幸せ物語(後編)」が発売されて2週間ほど経過しましたが、amazon で皆さんが買ってくださるおかげで amazon ランキングは好調です。amazon はこちらです。
ところで、この本の分類では amazonでは、なんと「日本文学」になっております。これが日本文学に入るとは知りませんでしたが、大変光栄です。確かに後編はストーリー重視になっ ているのですね。ストーリーを追いかけながら数学の話が頭に入っていったり、面白いと感じてもらうことがねらいなので。
まだ、読んでいない方も「日本文学」の「数学の幸せ物語」をどうぞ(笑)。
- Jul.31
2010
- 幸せ物語 (こちらは授業プリント関係です)
幸せ物語 10
こちらからどうぞ
幸せ物語 09
こちらからどうぞ
幸せ物語08
こちらからどうぞ
幸せ物語07
こちらからどうぞ
幸せ物語06
無知であることは, しばしば人を「幸せ」な状態にします。できたと思っていても実は全くできていない, でも本人はそれを知らない, 勉強が捗っていると思っていても実はぜんぜん進んでいない, そんな状態の人を「幸せ人間」と定義しましょう。 これは, そんな幸せ人間の物語です。
第1話 ベクトルの内積について
第2話 予想と解答
第3話 これでも答案
第4話 これ試験で使っていいの?
第5話 地に足がついていますか?
第6話 暗中模索
第7話 最初が肝心
第8話 これなら大丈夫型答案
第9話 順番を守ろう(前編)
第10話 順番を守ろう(後編)
第11話 等号が成り立つかどうかそれが問題だ
登場人物等の紹介
- 幸福高校
この物語の舞台となっている高校
(幸福高校の生徒)
- 福沢 幸夫 (ふくざわ ゆきお)
幸福高校3年。数学が得意のつもりだがいまいち点が伸びない。最近、成績に不安を感じてノイローゼ気味。
- 福田 幸子 (ふくだ さちこ)
幸福高校3年。幸夫とは小学校からのつきあい。幸夫のよき話し相手。数学の力はまあまあ。でも明るい。
- 大山 雑雄 (おおやま ざつお)
幸福高校3年。大雑把な性格。答案にもその様子がよく現れている。ちょっと偉そうな言い方をする。
- 出来杉 余裕 (できすぎ よひろ)
駿台の公開全国模試で偏差値90の秀才。たびたび福沢幸夫と福田幸子を助けてくれる。
- 福山幸恵 (ふくやま さちえ)
福田幸子の隣に座っている幸子の友達。
- 大熊 鮭太郎 (おおくま さけたろう)
幸福高校3年。北海道からの謎の転校生。北海道の方言丸出し。同じ高校の2年生に妹がいる.
幸福高校の先生
- 証 明子 (あかし あきこ・28歳)
生徒に優しい。でも数学の接し方は極めて厳格。
- 発飛 校長 (はっぴこうちょう 55歳)
幸福高校の校長先生。面倒見がよく生徒達の心のケア担当。生徒達からは Happy と呼ばれている。若いときはピアニストを目指していた。音楽に詳しい。
- Jul.19
2010
- 数学の幸せ物語(後編) 刊行へ
いよいよ「数学の幸せ物語(後編)」が刊行されます。
amazon ではこちらにあります。
発売前にも関わらず、多くの方が予約してくれているようで感謝しています。
私が1999 年 12 月に「受験教科書」(SEG 出版) の「場合の数と確率」を始めて刊行したのが、書店に並ぶ著書の始まりですが、当時は始めて刊行された 1 冊が、多くの受験参考書に挟まれて目立ちにくい状況でした。「これでは、だれも気がついてもらえない」なんて思っていましたが、「受験教科書」シリーズが 4,5 冊くらい出たときからようやく書店の棚で目立ち始め少しずつ注目してもらえるようになってきました。
今日現在では、「数学の幸せ物語(前編)」はどこの書店に行っても、その棚の中で分厚い本に挟まれひっそりと置かれています。後編が出れば、これでちょっとは気がついてもらえるようになるのではと思っています。
話は変わりますが、実は、「幸せ物語」自体は「数学の幸せ物語(後編)」以降も続いています。「数学の幸せ物語(後編)」には続編が出たときの主人公で ある福島解君と福本答子さんが現れ、また途中にその次の主人公である福山幸二(福山幸一の弟)君も現れ、伏線を引いてあります。新しく出る「後編」がある 程度反響がよければ出版社に続編の打診をしてみようと考えています。
- Jun.15
2010
- 「数学の幸せ物語」の後編について
「理系への数学 7月号」の目次裏の緑のページに紹介があります。また、その右ページに「『幸せ物語』の物語」が掲載されています。よろしかったら見てください。