問題の出し方の工夫1 (回答編)
一見するとこの積分は √(x+3)2−12x という多少ドキッとする形をしていますが、計算を進めるうちに
√(x+3)2−12x=√(x2+6x+9)−12x
=√x2−6x+9
=√(x−3)2
のようになることに気がつくと思います。そこで、この積分を
∫40(x−3)dx
と変形して計算するとこの段階で誤りが発生します。
実は、この積分の出題意図は「積分ができるか」ではなく、
√(x−3)2=|x−3|
と変形できるかということだったのです。これを直接 √(x−3)2 の形で問うと解く人は警戒するか意図がわかってしまいます。もちろん、そこで正しく変形できることは大切ですが、
「√(x+3)2−12x=√(x−3)2 となることがわかった!」
ということでほっとして気が緩んだ?状況でもこの先正しい計算ができることが真に計算が身に付いていると言えるのです。
数学の理解について次のように分けることにします。
第1水準: 注意して解けば正しく解ける
第2水準: 特に意識しなくても間違わずに解ける
例えば、
「AB=4, BC=5, CA=6 のとき cos∠ABC を求めよ。」
という問題に対し、これは 3 辺の長さが与えられているから余弦定理を使う問題だと考えて解くのは第1水準レベル、特に余弦定理と意識しなくても求めてしまうのが第2水準レベルです。
ある程度難しい問題を解くためには、第2水準レベルの理解をしているものを増やすことが大切です。
定積分の計算は次のようになります。
∫40√(x+3)2−12xdx=∫40√(x−3)2dx
=∫40|x−3|dx
=∫30{−(x−3)}dx+∫43(x−3)dx
=⋯
=5
タグ: 教育論編
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on 月曜日, 11月 23rd, 2015 at 1:04 PM and is filed under 教育, 数学, 高校数学を考える(教員向け).
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