高校数学の似て非なる問題に対し深い意識を持とう (3) - 解答編 1 –
(1) A, B, C がもらうボールの個数を x, y, z とおきます。このとき,
x+y+z=15, x≧1, y≧2, z≧2
が成り立ちます. これを満たす整数 x, y, z の組の個数を求めればよいのですが, x, y, z によって条件が異なるので次のように工夫します。
まず最初に A に 1 個, B に 2 個, C に 3 個与えておき, 残り 9 個を A, B, C に分配します。残り 9 個の分配の方法は,
x+y+z=9, x≧0, y≧0, z≧0
満たす x, y, z の組の個数だけありますが, これは, ○ を 9 個並べそれを 2 つの | で仕切る方法だけありますので,
(9+2)!9!⋅2!=11⋅102⋅1=55 (通り)
だけあり, これが与えられた条件のもとで 15 個のボールを A, B, C に分配する方法の個数です。
この解答のように, A, B, C に先に最低限のボールを与えておき, 追加分のボールの個数を数える方法を「先入れ方式」といいます。
(2) A, B, C に少なくとも 1 個のボールを与えるので, (1) と同じように「A, B, C に先に 1 個与えて追加分を数える」としてもうまくいきません。具体的には,
・最初に A, B, C にボールを分配する方法は 10⋅9⋅8=720 (通り)
・次に残り 7 個のボールを 3 人に分配する方法は 37 (通り)
したがって,
720⋅37 (通り)
とするのは誤りです。これが誤りであることは次のようにも説明できます,
例えば 10 個のボールを
①, ②, ③, ④, ⑤, ⑥, ⑦. ⑧, ⑨, ⑩
とします。
(例 1) 最初に A, B, C に順に ①, ②, ③ を与えます。
A (① ), B (② ), C (③ )
次に, 残りボールをすべて A に与えると次のようになります。
A (①, ④, ⑤, ⑥, ⑦, ⑧, ⑨, ⑩), B (② ), C (③ )
(例 2) 最初に A, B, C に順に ④, ②, ③ を与えます。
A (④ ), B (② ), C (③ )
次に, 残りボールをすべて A に与えると次のようになります。
A (④, ①, ⑤, ⑥, ⑦, ⑧, ⑨, ⑩), B (② ), C (③ )
先ほどの 720⋅37 (通り) は (例 1) と (例 2) を区別して数えた結果ですが, 実際には (例 1) と (例 2) は同じ分け方になります。したがって, この場合は「先入れ方式」は通用しません。
分けるものを区別する場合は「先入れ方式」を用いてはならない
長くなったので (2) の解答は明日の記事で扱うことにします。