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高校数学の似て非なる問題に対し深い意識を持とう (1)  – 解決編 –

どちらの問題も \(p\sin x+q\cos x\) 型の式ですが、問題1の方は、\(p\), \(q\) に相当する値が定数であるのに対し、問題 2 は \(x\) の入った式になっています。
したがって、問題1の場合は、三角関数だけからなる式なので、このような場合は三角関数の諸公式(加法定理・2倍角の公式・半角の公式など) が活かせないかをまず考えてみるとよいでしょう。これに対し、問題2の方は多項式と三角関数が組み合わさった式になっているので、このような場合は三角関数の公式を使ってもうまくいかないことが多く微分を使うことになります。
問題1のような「三角関数だけ」からなる式の場合も微分を使うこともありますが、その前に三角関数の公式だけで解決できないかを考えることを勧めます。

念のため解答は次のようになります。
【問題1】
\(f(x)\) を三角関数の合成を行なって、
\(f(x)=\sqrt{a^{2}+(4-a^{2})}\sin (x+\alpha)\)
      \(=2\sin (x+\alpha )\)

と変形します。ただし、\(\alpha\) は \(\cos\alpha =\displaystyle\frac{a}{2}\), \(\sin \alpha =\displaystyle\frac{\sqrt{4-a^{2}}}{2}\) を満たす実数とします。\(x\) の取りうる範囲は, \(0\leqq x\leqq 2\pi\) ですから \(\sin (x+\alpha )=1\) となることができて、このとき \(f(x)\) は最大値 2 をとります。

【問題2】
\(f'(x)=\sin x+x\cos x-\sin x=x\cos x\) ですから, \(f(x)\) の増減は次のようになります。

\(x\) 0 \(\cdots\) \(\frac{\pi}{2}\) \(\cdots\) \(\frac{3}{2}\pi\) \(\cdots\) \(2\pi \)
\(f'(x)\) + 0 0 +
\(f(x)\)  1 \(\nearrow\) \(\searrow\) \(\nearrow\)  1

したがって, 最大値は \(x=\displaystyle\frac{\pi}{2}\) のときにとる \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\) です。

This entry was posted on 水曜日, 11月 25th, 2015 at 10:00 PM and is filed under 教育, 数学, 高校数学を考える(受験生向け). You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

2 Responses to “高校数学の似て非なる問題に対し深い意識を持とう (1)  – 解決編 –”

  1. sigeo said:

    増減表ですが、端点の値は正しいですか?

  2. Sei said:

    ご指摘ありがとうございます。正しくなかったので修正しました。

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