「受験数学の理論」の改訂版について
およそ 4 ヶ月ほど前に、あと少しという報告をしましたが、その後はなかなか進むことができなくご迷惑をおかけしました。また、「問題集の方はいったいどうなっているんだ」と問い合わせも少なくないので、今後の報告もかねてこの場で、今、はっきりしていることを述べさせてもらいます。
・「受験数学の理論」と「受験数学の理論問題集」は新課程対応のため新しく改訂されます。改訂の際に書名も変わりますが、新しい書名はまだ未定です。
・改訂に際しては、この 2 系統は統一される予定です。すなわち、受験数学の理論に章末問題がついている感じです。
・改訂版は、出版社の要望(それは、読者の要望でもあるとのこと)で、分野別ではなく、「数学 I・A」「数学 II・B」「数学 III」となります。そして、より受験生のための「教科書」との色合いが強くなります。
・このため、今ある「受験数学の理論問題集」の「関数」については、未完のまま新課程版に統合されます。これに関しては旧課程のうちに仕上げるべきでしたが間に合わず申し訳ありません。原稿はほぼできていましたが、新課程版の制作が進むうちにそちらの方に組み込まれることになっていきました。
刊行の見込みがでればこちらで報告していきたいと思います。追加情報もあわせて報告します。
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on 金曜日, 1月 9th, 2015 at 10:19 PM and is filed under 「受験数学の理論」.
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1月 24th, 2015 at 12:45 PM
受験数学の理論問題集が章末問題として受験数学の理論に統合されるということですが、
統合されたその章末問題の問題量はどの程度になるのでしょうか?
受験数学の理論だけでも大部の書籍なのに、問題集も一緒にするとなると、どうやるのだろうと思っております。
1月 26th, 2015 at 9:07 AM
いつもありがとうございます。
完全に合体という形にはならないとは思いますが、出版前に詳細に述べることは、私は出版社ではないのでできません。ご承知いただいているとは思いますが、私がこのようなものを作りたいと述べてもそれが出版社の意にかなわないと実現しませんし、「私がこのようなものを作りたかったのだが・・・・」ということを言ってもそれはよいことではありません。
完全に決定していることを少しだけ言うだけです。
ただし、具体的な書物を想定したものではなく、「受験生にはこのような本が必要だ」とか「このような本を出したい」という考えをかなり具体的に言うことならばできると思います。
2月 14th, 2015 at 10:40 PM
ご無理をお願いしてしまったようですね。それで改訂版に限定したことでなく、清先生が書きたい高校生、受験生向けの数学書についてなら答えていただけるとのことですので、質問させていただこうかと思います。
改訂版に限定しないとはいうものの、質問が漠然としすぎては、逆に先生も回答しにくいと思いますので
旧版の受験数学の理論シリーズの内容に基づいて質問をさせていただこうかと思います。
まず初めにですが、7巻で積分を「極限の和」だということを理解させたいと書いており、そのために7巻8巻において積分をリーマン積分で解説されてますが、
僕が読んでいて思ったのが、これは「リーマン積分を解りやすく解説している」のであって「積分とは面積でなく極限の和だ」ということを気づかせる解説ではないのではないか、ということでした。
高校数学で積分は微分の逆演算と定義したのを教わった身としては、
リーマン積分で定積分を定義しても、「積分は微分の逆演算なのに、何でそれを取り消して、こんなまわりくどい定義するんだ?」と僕は思ったのが最初でした。
最初は7巻の「2章の前書きを読んでなかった」ので積分とは微分の逆演算だと「そういう風に」決められて発明されたと思っていたからだと思います。
なので8巻で微積分学の基本定理の解説を灰色の枠塗りで囲って、この定理はその橋渡しの役をしている、と説明されても、何を当たり前なことを言ってるんだろう?と最初はピンと来ませんでした。
さらに言いますと、8巻の6章の前書きで「なぜ微分の逆演算で面積が求められるのかを知ってる受験生は少ない」と言ってからリーマン積分や微積分学の基本定理の解説をされても、高校で既に面積の関数S(x)を微分すればf(x)になると(証明に厳密性が欠けるとしてもそう)教わっている身としては、それが理解できませんでした。次元の違う話だったわけです。
つまりこれらは「証明の厳密さや正確な定義」の話ではなく「概念の理解」の話なのです。
証明の厳密さや正確な定義の話をするならば、積分は面積の値を「長方形」の和で「(それが高位の微少量であっても)近似」してるに過ぎないのに、なぜ「曲線」の面積に「一致」するのかという疑問は残ったままでした。これは定積分と面積の話というより「極限の概念」に関する理解の話でしょうか。
これは微分で接線の傾きを求める際、2点をいくら限りなく近づけても一点(接点)にはならないのに、なぜ接線が出せるのか?や、0.9999…=1は不思議なのにその一方で0.3333…=1/3には誰も疑問に思わないことに繋がる話でもありますね。
そして積分は面積でなく「f(x)とΔxをかけたものの極限の和」ならば、f(x)とΔxを縦と横に「変換」して長方形の面積にしてしまうのは良いのだろうか?つまり極限の和は極限の和であって面積でないなら、積分で面積が求められるのは何故なのだろうか?そこからさらに「縦×横がなぜ長方形の面積なのか?そもそも面積の定義とは?」に繋がります。
概念の理解の話については、導関数にも言えます。
導関数とは接線の傾きだと思ってる高校生受験生は多いですが、僕の例でいうとそれは「そもそも関数の変化の様子とは何か?」がよく分かっていなかったからです。
数Ⅱで初めて導関数を習うとき平均変化率から解説されますが、「平均変化率とは何か?」と思ったとき「ああ、要は直線の傾きのことか」と思ってスタートしたので、そのあと導関数の定義を数式で表現したところで無駄でした。これは「直線の傾きの定義」を小難しくしただけ、くらいにしか思っていなかったからです。ですので、速度を導関数で定義したり、数Ⅲで三角関数を微分したときは混乱しました。
僕が思う受験数学の理論とは、概念の解説もしていますが、どちらかというと証明の厳密さの解説に重きを置いているというイメージなのですが、これについて清先生の執筆したい本の構想と合わせた話をお聞かせ頂けたらと思っています。
例えば、2巻で関数の別名を写像ともいうと書かれていますが、この関数fと行列の関係、つまり2巻と9巻、さらには5巻のベクトルとの繋がりにも触れた本を書きたいとか。(新課程では行列はなくなりましたけどね)
2月 17th, 2015 at 12:11 AM
いつも興味深いお話をありがとうございます。
厳密に書きたいという思いはありますが、あまり高校生相手に進めると独りよがりの本になってしまいます。
そのため、あるところで厳格性については妥協しなければならないところも出てきますが、そうなると逆に一部の人から「いい加減だ」という批判もこれまで浴び続けています。そこがなかなか難しいところです。
ただ、高校生には「物事には理由がある」ということをしっかりわかってもらいたいと考えています。
これからもこだわるところにはこだわっていきたいと思います。
ただ、今度の改訂版は出版社の意向で、科目別(数学 I・A などのカテゴリー) にするようにとのことですので今までとは少し変わった感じになると思います。
2月 16th, 2015 at 10:21 AM
こんにちは。いつも興味深く拝見させて頂いております。
私は今、場合の数と確率の分野を正しく理解するため、受験数学の理論を使って勉強したいと考えているのですが、著者の清先生は本書の到達点(レベル/適用範囲)をどのようにお考えでしょうか。また、新課程版がでるのを待たずに旧課程版で学習を進めても大丈夫でしょうか。もしお時間がある時にコメント下されば有難いです。
宜しくお願い致します。
2月 17th, 2015 at 12:02 AM
今、出版されている受験数学の理論は、旧課程の段階(正確に言えば1990年代後半の段階)で、将来、文科省の指導要領が昔に戻っても対応できるように、ということと、数学がよくできる生徒が読んでも学ぶべきものがあるように設定されています。
ですので、「受験数学の理論」を使っても何の問題もありません。困るの点と言えば、期待値など出題範囲からなくなったものがわからないという点です。これは、少し課程に詳しければ何とかなると思います。
なお、新課程版はあと数か月かかる見込みです。
到達レベルについては、内容面ではどの本よりも深く書かれていると思います。ただし、演習量が足りないと思いますのでそこは補う必要があります。
6月 18th, 2015 at 9:58 PM
こんばんわ。質問させてください。
「より受験生のための「教科書」との色合いが強くなります。」とありますが、これは具体的に何を意味しているのでしょうか?
受験とは関係なく子供相手に使用したいのですが、新しい書籍より旧「受験数学の理論」の方が解説が詳しくかつ広範に及ぶという意味でしょうか?新旧どちらを選ぶべきか判断できるようなご回答を頂けますととても助かります。
6月 19th, 2015 at 11:05 PM
回答できる範囲で答えさせてもらいます。
「教科書」のようになるというのは、構成(項目の並び方)、表現、定義などが、教科書とこのシリーズの両方を読んでいる人が混乱しないように変更されているということです。
新版は、数学IA, IIB, III という「普通の参考書」と同じ構成になります。
ですので、全く文科省を意識せず独自に学習するのであれば旧版の方があっているかもしれません。ただし、旧版はデータの分析などは入っていません。またオイラーの定理などもありません。
また、旧版は絶版になるようで、実際、書店になければもう手に入らないものもあるようです。