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はなちゃん

数学の学習で問題集の解答を読むだけだったり, 一度解いた問題を復習するだけ(それ自体は悪いことではない)では, 問題を解くための初期動作の感覚が衰えていきます。
受験生が、「夏休みはテキストの復習に使うぞ!」とか「問題集を片っ端から解くぞ!」と意気込んでいてもその内容が, すでに書かれているものを追いかけるだけではこの初期動作ができなくなり力が確実に衰えていきます。
「わからない問題は解答を覚えます!」
などと言っているのも怪しいものです。
やはり、自分で考える部分を多くもたないと危険です。「ああこれはこういう問題なんだ」と見抜く力が大切なのです。
大学入試や数学オリンピックなどの広範囲から出題される試験では「突然ふられた話を瞬時に理解」できることも大切です。このような問題では図形の問題であっても「ベクトルを使って解く」のか「初等幾何で解ける」のか、それとも「座標を置く」と簡単に解けるのかから判断しないといけないわけです。

こういう感覚は次の会話の引き算「3-2」の答である (★) の部分がどの段階でわかるかにもよります。
まずは気軽な気持ちで読んでみてください。

—- 「はなちゃん」 —-  

A: 40 代の男性
B: 5 歳の男の子

(街角で, A がお母さんを待っている B に気がつき声をかける)

A : 僕! だれと待っているの?
B : ママだよ。
A : そうなんだ。
(ここから一方的に B が話し出す感じで)

B : 僕ね, パパとママとはなちゃんと住んでいるんだ。
A : そうなの。はなちゃん妹? かわいい?
B : かわいいよ。それでね, 毎朝, 僕は食べるのが遅くてママに怒られるんだけど,
  はなちゃんはとってもはやくてね, ママがはなちゃんばかりほめるんだ。
A : そんなにはやいの。はなちゃんは残さないの?
B : うん。いつもきれいに食べて, 最後に皿までなめているよ。
A : すごい食欲だね。はなちゃん何歳?
B : えーと。3 歳だったかな。パパが連れてきたんだ。
A : (え? 連れてきた??)
   そうなんだ。僕, 一人で待っていていい子だね。おうちではほめられてる?
B : ううん。怒られてばかり。今日も起きるのが遅いって怒られたし。でもね,
  はなちゃんはいつも早く起きてはなちゃんは毎朝パパと散歩にでかけるんだよ。
A : へぇー。君たち仲いいのかな?
B : うん。仲いいよ。ぼくたちお昼ね一緒にするし。はなちゃんふさふさして
  気持ちいいんだ。
A : はなちゃんって髪の毛が長いのかな?
B : ううん。短いよ。でもおなかにも毛がはえているから。
A : え?
B : それからね, はなちゃん算数もできるってママからほめられるの?
A : どういうふうに?
B : ママが 3-2 は? って聞くとね。
A : 何て答えるの?
B : ( ★ )

This entry was posted on 月曜日, 5月 18th, 2015 at 9:53 AM and is filed under 教育, 数学. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

6 Responses to “はなちゃん”

  1. minaken said:

    ダメでした。
    会話を辿りながら

    これは犬の話か?
    やっぱり犬の話か?
    どうやら犬の話のようだ
    間違いなく犬の話だ

    と思っているうちに、
    算数の得意って会話になるまで3-2のことはすっかり忘れてました。

  2. Sei said:

    (笑)

  3. old learner said:

    答えはきっとあの英単語なのでしょう。
    おなかに毛が生えているという部分で気づきました。
    そして、最初から読み返すと、「皿までなめているよ」がヒントなんだろうなと後から思いました。
    最初にこの部分を読んだときは、恥ずかしながら自分自身が幼い頃、デザートの皿をなめていたことがあり、気づきませんでした・・・・。
    本文以外のもの(自分の体験)を解釈に持ち込むとこういうことになってしまうんですね。
    もしかしたら、おなかがふさふさな人を知っている人はこの部分でも気づかないかもしれません。

    もしかしたら、答えは「わからない」が正しいのかもしれませんね。

  4. old learner said:

    清先生の「この夏~」を受講する予定です。

    数学の学習においてよく“定石”という言葉が出てきますがどのようなものだと思われますか?

    先生の授業を受ける前に準備を万全(授業について行けるように)にしておきたく質問させて頂きます。

  5. Sei said:

    決まった形に対する「定石」は解法の型のことではないでしょうか。「定石」が適用できる形になれば、そこから先は機械的な作業になります。
    ですが、「定石」があてはまるかどうかを判断する力が大切かと思います。

  6. old learner said:

    回答ありがとうございます。

    定石という表現は世間でいう暗記数学のようなものだろうと思っていたので、あまりいい印象がありませんでした。

    複素数平面で言えば複素数の絶対値が出てくると、2乗して共役複素数を出現させて解いていくといったところでしょうか。

    何故かはわからないがそうするとうまくいくことが定石なのかなと想像していましが、そんなに単純なものではなさそうですね。

    奥が深いです。

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