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札幌講演(3月7日) の報告

IMGP0014

2015 年 3 月 7 日に札幌に講演に行って参りました。
午前は, 高校の先生達を対象に生徒指導に関わる「ややマニアック」な内容について触れました。数学の中にはちょっとした違いで, 大きく手法が異なるものが多くあります。これに対し, 数学が苦手な高校生は「形から入る」ので, そのような学習法では, この「少しの違い」が見抜けなくなることがあります。
今回の話題の一つを紹介すると, 次のようなものがあります。
「区別のない n 個の球を 3 人に分配する方法は何通りか。ただし, どの人も少なくとも 1 個はもらうものとする」
という問題と
「区別のある n 個の球を 3 人に分配する方法は何通りか。ただし, どの人も少なくとも 1 個はもらうものとする」
という問題があります。
前者も後者も直接求めることはできますが, 次のように考えた場合はどうなるかという話をしました。
前者の問題では, あらかじめ 3 人にボールを 1 個ずつ与えておきます。それから, 残り n-3 個を「もらわない人がいてもよい」という条件で分配し, この分配の方法を数えます。このような方法を「先入れ方式」といいます。高校生はよくこの「先入れ方式」を好みます。なぜなら, 覚えることが少なくて済むからです。しかし, この先入れ方式は後者の問題では適用できません。にもかかわらず, 決して少なくない高校生が後者の問題にも先入れ方式を用いてしまいます。
このような話題をいくつか触れました。また, 東大入試の「小数点問題」にも触れましたが, これは参加された高校の先生には大変興味のあることのようでした。「東大の小数点問題」とは簡単に言うと, 入試の成績開示されたデータをもとに小数点部分を調べると不可解な並びがあり, 東大に迷いがあったことを伺わせる部分があるというものです。これについては別の機会に説明したいと考えています。

午後は, 高校生対象の第 33 回数学コンテストの表彰式に参加し, 祝辞と短い講義をして来ました。

This entry was posted on 月曜日, 3月 9th, 2015 at 8:56 AM and is filed under 教育, 数学. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

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