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1 つの考え方として

理科の先生と話してしてよく言われることがある。特に新学期が始まった時期に。それは「数学では、まだ微積分を教えていないの? 」「数学では、まだ三角比を教えていないの?」「数学では、まだベクトルを教えていないの?」などである。
これは、理科、特に物理では数学の記述を必要とし、化学でも pH を教えるときに指数法則や対数の性質などが必要になるが、そのときに数学でこれらを習っていないと教えにくいというのが原因である。
このようなことから、毎年春に見る風物詩が「理科の先生がしぶしぶ数学を教える姿」である。私は、これは理科の先生に申し訳ないと常日頃思っている。

ところで、ここでも何度か書いたように、これからの数学教育では「数学のよさ」を教える、あるいはそれらを伝えることに重点がおかれ、そのために数学がどれほど身近に役に立っているのかを強調する方向を向いている。しかし、その実際はというと無理して数学を使って説明をしたり、関心をもっている人が少ない内容を数学が割り込む形で説明していることが多い。私は、ここまでに「数学のよさ」を伝えようとしてきた人達の努力は否定はしないが、それとは別に、理科の先生に数学を教えるという負担をさせないようなカリキュラムはできないかとしばしば考える。
実は、30年ほど前の課程では、高校1年生で対数もベクトルも教えていた。さらに、それ以前には中学で対数を教えていた。ふと思ったことだが、理科はそのときの数学の学力で設定されていて、数学だけが理科とは関係なくずるずると後退して行っただけなのかもしれない。

さて、実際にカリキュラムを変えて高1でベクトル、指数対数を教えるようにするのはまず無理であろう。これは、知恵のある進学校がカリキュラムを組むレベルでの話が現実であるが、もしかすると数学が理科よりも先行すると数学と理科の学力に相乗効果が現れるかもしれないと思って、興味が尽きない。

This entry was posted on 月曜日, 1月 3rd, 2011 at 7:03 AM and is filed under 数学. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

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