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没落過程

人は一生の中で 1 つ、2 つの「大失敗」はするものだと思う。その「大失敗」を振り返ると多くは何段階か踏んでそこに至るようなものではないだろうか。
そして、その失敗のきっかけは些細なことだったりする。「些細な段階で止めておけば」と後悔する人も多いのではないだろうか。

例えば、海外旅行中にラスベガスのカジノで「大借金」をして帰ってくる富裕層の話を聞く。最初は遊び心で始めて小さな「負け」を作り、それを取り返そうとしてかえって「負け」は大きくなる。気がついたらやめられなくなり、悲惨な状況で終わる。そして、振り返ってみると、最初の段階で関わらなければよかったと反省する。

長年、受験生に向けて授業をしていると「ダメ」になっていく生徒はある一定の経路を通ることがわかる。
その流れ、すなわち「没落過程」を書くと次のようになる。

[第1段階] 正常状態 (授業を集中して受けている状態)
[第2段階] (★)
[第3段階] 授業中に寝る
[第4段階] 授業に遅刻するようになる
[第5段階] 授業をさぼるようになる
[第6段階] 数学を捨てる (数学の点は悪くても気にならなくなる・悪いのが当たり前だと自分を納得させている)
[第7段階] 数学を受験科目からはずし、志望校を変更する
[第8段階] 受験をやめる

さすがに、いくら「ダメ」になっていくと言っても、たいていは[第8段階]に達する前に受験をむかえる。ただ、何浪もする人には本当に[第8段階]に達する人もいる。
では、このようにならないためにはどの段階で食い止めるのが一番簡単だろうか?
それは、先ほどの説明にもあるように最初の段階である。つまり、[第1段階]から[第2段階]に進まないように、ここで食い止めるのがもっとも痛みを伴わない。

それでは、空欄になっている(★)には何が入るのか。それは次のようなものである。

(★) 授業中に解答のみを写すようになる。

数学の授業は問題演習の場合でも、その考えに至る背後の考え、基礎知識の確認、間違えやすい危険なところの説明などがある。
その上で解答を記す。ところが(★)の段階に進んだ受験生はそこを一切聞かず、ただ解答のみを写すようになる。
これは、大切な情報を得ようとする気がなくなったからで、このように自分で情報を(自分勝手な判断で)取捨選択するようになると(★)の段階に進んだことになる。
これが没落の始まりである。

This entry was posted on 日曜日, 10月 9th, 2011 at 7:39 AM and is filed under 未分類. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

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