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似て非なる計算「極限編」

 説明をしながら解いていくことにします。

(1) \(x\to\infty\) のとき \(\sqrt{x^{2}+4x+2}\to\infty\), \(\sqrt{x^{2}-2x+5}\to \infty\) であるので, 問題文の極限は「\(\infty -\infty\) 型の不定形」です。したがって, 適切な変形をして不定形ではない形に変形しなければなりません。それは, この場合は「分子の有理化」という操作を行ないます。
 次のように得られます。

  \(\begin{align}
\displaystyle\lim_{x\to\infty}(\sqrt{x^{2}+4x+2}-\sqrt{x^{2}-2x+5})&=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{(x^{2}+4x+2)-(x^{2}-2x+5)}{\sqrt{x^{2}+4x+2}+\sqrt{x^{2}-2x+5}}\\
    &=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{6x-3}{\sqrt{x^{2}+4x+2}+\sqrt{x^{2}-2x+5}}\\
    &=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{6-\displaystyle\frac{3}{\,x\,}}{\sqrt{1+\displaystyle\frac{4}{\,x\,}+\frac{2}{\,x^{2}\,}} +\sqrt{1-\displaystyle\frac{2}{\,x\,}+\frac{5}{\,x^{2}}\,}}\\
    &=\displaystyle\frac{6}{1+1}\\
    &=3  (答)\\
\end{align}\)
 
(2) (1) では「分子の有理化」を行ないましたが, この問題の場合はそれを行なう必要はありません。次のように解けばよいのです。

  \(\begin{align}
\displaystyle\lim_{x\to\infty}(\sqrt{2x^{2}+4x+3}-\sqrt{x^{2}+2x+9})&=\displaystyle\lim_{x\to\infty}x\left( \sqrt{2+\displaystyle\frac{4}{\,x\,}+\frac{3}{\,x^{2}\,}}-\sqrt{1+\displaystyle\frac{2}{x}+\frac{9}{x^{2}}}\right)\\
    &=\infty   (答)\\
\end{align}\)
 
 答の一つ前の式では, ( ) 内は \(\sqrt{2}-1\) に近づきます。したがって, この極限は, 「\(\infty\times (\sqrt{2}-1)\)」型の極限ですので, 結果は \(\infty\) になります。
 (2) は (1) のように「有理化」を行なっても極限を求めることはできるのですが, 「わざわざ」それを行なわなかったのは, 根号内の最高次の係数が異なっているからというのが理由です。もう少し詳しく説明すると, \(\sqrt{2x^{2}+4x+3}\) はおよそ \(\sqrt{2}x\) 程度の速さで大きくなるのに対し, \(\sqrt{x^{2}+2x+9}\) は \(x\) 程度の速さで大きくなるので, \(x\) が大きくなると差が広がっていくというわけです。つまり, (2) は見た目でも極限はある程度予想できるようなもので, 「わざわざ」有理化までしなくてもわかるということです。
 ここまでをもう一度振り返ると,
 
 (1) では, \(\sqrt{x^{2}+4x+2}\) と \(\sqrt{x^{2}-2x+5}\) の \(x^{2}\) の係数は一致しています。そのようなときに有理化を行ないます。
 (2) では \(\sqrt{2x^{2}+4x+3}\) と \(\sqrt{x^{2}+4x+9}\) の \(x^{2}\) の係数が異なるので, このような場合は有理化をしなくても答はすぐにわかります。
 
 このようになります。
 
(3) (2) での説明をふまえると, 極限を構成している 2 つの差のうち,

  • \((\sqrt{3x+1}-\sqrt{x+2})\) は有理化しない部分
  • \((\sqrt{2x+5}-\sqrt{2x-1})\) は有理化をする部分

と考えます。次のようになります。

 \(\displaystyle\lim_{x\to\infty}(\sqrt{3x+1}-\sqrt{x+2})(\sqrt{2x+5}-\sqrt{2x-1})\)
 \(\begin{align}
  &=\displaystyle\lim_{x\to\infty}(\sqrt{3x+1}-\sqrt{x+2})\cdot \displaystyle\frac{(2x+5)-(2x-1)}{\sqrt{2x+5}+\sqrt{2x-1}}\\
  &=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\displaystyle\frac{6(\sqrt{3x+1}-\sqrt{x+2})}{\sqrt{2x+5}+\sqrt{2x-1}}\\
  &=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\displaystyle\frac{6\left( \sqrt{3+\displaystyle\frac{1}{\,3\,}}-\sqrt{1+\displaystyle\frac{2}{\,x\,}}\right)}{\sqrt{2+\displaystyle\frac{5}{\,x\,}}+\sqrt{2-\displaystyle\frac{1}{\,x\,}}}\\
  &=\displaystyle\frac{6(\sqrt{3}-1)}{2\sqrt{2}}\\
  &=\displaystyle\frac{3(\sqrt{3}-1)}{\sqrt{2}}\\
  &=\displaystyle\frac{3}{\,2\,}(\sqrt{6}-\sqrt{2})   (答)\\
\end{align}\)

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This entry was posted on 水曜日, 12月 9th, 2015 at 1:00 PM and is filed under 計算のエチュード. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

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