大学入試問題に関して


2006 年度 東京医科歯科大学第 3 問について (2006 年 2 月 25 日)

 本年度の東京医科歯科大学の第3問の (3) は次のようなものでした。

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(3) 次の 4 条件 (a), (b), (c), (d) を満たす微分可能な関数 f(x) を求めよ。
 (a) f(0)=1
 (b) f'(0)=0
 (c) すべての実数 αに対して f(α)=f(-α) が成立する。
 (d) 正の実数 t に対して座標平面上の曲線 y=f(x) (0≦x≦t) の長さを l(t) と表すとき、すべての正の実数 t に対して l(t)=f'(t) が成立する。
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この問題を解くにあたっては旧課程の「曲線の長さの公式」が必要になるのではないでしょうか? もちろん「優秀な受験生」であれば、知らなくてもその場で導ける可能性はなくはありません。が、多くの受験生にとって知っていたかどうかが大きく影響します。
もちろん、旧課程の範囲から出題されるとの告知はありませんでした(共通部分からの出題とのこと)から、これは著しく新課程履修者には不利な問題です。

さて、出題者はもしかすると「曲線の長さ」が新課程から除外されたことを知らないかもしれません(想像です)。とすると、この不公平な問題がそのまま採点され、まじめに勉強してきた現役高校生が損害を受けることになります。誰もが平等に入学資格をもつはずの国立大学においてこれが許されるはずはありません。
今後の大学の対応を皆さんで見守ることにしましょう。

ちなみに、この問題にはもう一つ欠点があります。みなさんわかりますか? f(x) が「微分可能な関数」であるだけではこの問題は本当は解けないのです。
ただ、受験生があまり気にしないことであるため、おそらく問題作成者が考えていた答案は作ることは可能でしょう。
これにおいても問題なのは、大学側の問題作成能力という点にあります。