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今度は本気?

以下は、数学教育に携わる人向けの話です。

中学では2009年から新カリキュラムが始まり、高校では2012年から数学の新カリキュラムが始まります。「なーんだ。それだったら、再来年の春の話 じゃないか」と思う人も多いでしょうが、中高一貫校などで中3のときに高校の内容を教える学校では来年の中3から高校の新カリキュラムが始まります。
さて、時代の流れとでも言いましょうか、新カリキュラムでは「データの分析」ということで、いわゆる「統計」が始まります。ところで、この統計は今まで にもありましたが、例えば数学Bの場合はほとんどの場合が「ベクトル」と「数列」を選択するので「統計」は選択しません。数学Cについても同様です。実 際、大学入試でもこの範囲は指定されることは非常に稀です。つまり、統計を勉強しても大学入試にはほとんど役に立たないので当然、「教科書にあるだけで誰 も統計のことなんか知らない」という状態でした。
ところが、今回の改訂では違います。「データの分析」は数学Iの中にあり、全員が必修です。ご存知の方も多いかもしれませんが、どんな高校でも、高校で ある以上勉強しなければならないのが「数学I」ですから、統計を数学Iに入れている意味は非常に大きいわけです。すなわち、文科省からすれば「今度は絶対 に統計をやるように。今までのようにはいかないぞ」という意思表示かもしれません。
ちなみに、「統計重視」の姿勢は中学数学からすでに始まっています。

にも関わらず、「統計は入試で出ないだろ」と考えて、統計の扱いがこれまでと変わらない学校、塾が多いようです。繰り返しになりますが、今回の統計の扱 いは数学Iの中に組み込まれているからにはセンター試験には必ず出題されます。数学Iにあるので、統計を題材にした(統計の顔をした)問題も2次試験に出 る可能性は十分にあるのです。嫌なものは見ないではすまされません。

# 高校数学の中で本当の全員が必修である教科は数学Iです。ちなみに、英語は英語Iだけ、地歴は「世界史A、世界史Bのどちらか一方と日本史、地理のA,B からどちらか一方をとる」のがルールです。

This entry was posted on 火曜日, 12月 14th, 2010 at 12:00 AM and is filed under 教育, 数学. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

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