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誰か名付け親になってくれる人はいないだろうか

 学生のとき、数学科の仲間 6 人くらいで車 2 台に分かれ長距離を移動していた。何のために移動していたのかはちょっと思い出せない。当時は携帯電話は普及されていないので、2 台の車が離れて連絡が取れなくならないようにとトランシーバーを買った。ところが、それほど 2 台の車の距離は離れなかったので、トランシーバーの出番はなく、せっかく買ったのにもったいないからと言って、トランシーバーを使って数学者の名前に限定してしりとりを始めた。もちろん、「ん」で終わる名前をあげると負けで目的地に着いてからペナルティーはあった。すると、数学者の名前で「ん」で終わる人は意外と多い。
「リー・・・・(リーマン)じゃなくて(少し慌てて)、ノイマン! 」
と言った感じで進行していった。最近ならばペレルマン(ポアンカレ予想を解決した人)が NG ネームであろうか。

 さて、話は名前つながりではあるが全く変わる。定理、公式、あるいはそれを解決するための道具に適切な名前や記号を与えることは重要である。(ちなみに、私が考える記号考案の名人はライプニッツである。)
 高校数学の中に三角関数の「和を積に変える公式」(和積公式) というものがある。例えば、

  sin A +sin B = 2(sin (A+B)/2)(cos (A-B)/2)

というものである。確かに sin A と sin B の和が sin (A+B)/2 と cos (A-B)/2 の積になっているのでこの名の通りである。ところが、高校数学の数学 II で現れるこの公式を使う問題のほとんどは「和を積で表す」ことが解ける原因ではない。例えば、

 「A+B=60゜, A≧0゜, B≧0゜のとき sin A +sin B の最大値を求めよ」

の場合は、和積公式を使えば、その後は簡単である。しかし、「和が積」で表されることよりも、A+B が一定なので「 A と B の正弦(sin)で表されていたものが (A+B)/2 と (A-B)/2 の正弦(sin)、余弦(cos)で表される」ことが解ける原因である。(数学 II でこの公式を使う場合は A+B, あるいは A-B が定数である場合がほとんどである。)
したがって、「和積公式を使って解けた! 」と言うと、何か誤解を与えるような気もする。もちろんこの公式を「和積公式」というのは間違いではないが、使い方と名前がずれているので、何かよいサブネームはないかと考え続けている。その場合

・使い方の実態とあっている。
・あまり長い名前ではなく、短くてすっきりしている。
・記憶に残りやすく、呼びやすい。

などの条件にあてはまるものがよい。「誰か名付け親になってくれる人はいないだろうか」と思うがまずは自分で考えようと思って数年が経過した。これを最初に思ったのがトランシーバーを使ってしりとりをしていたときである。

※積を和に変える公式も数学IIの問題の場合は上と同じ事があてはまる。しかし、この公式は数学IIIの積分で、今度は本当に「積を和に変えるため」に使っているのでその場合は名前と実態はあっている。

This entry was posted on 日曜日, 1月 23rd, 2011 at 3:22 AM and is filed under 数学. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

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