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本末転倒?

ある数学の教育者が鼻高々に言う。
「私は、x^3=8 の実数解を求める必要が解答の中で現れたときは、必ず、
x^3-8=0
(x-2)(x^2+2x+4)=0
として、2次方程式 x^2+2x+4=0 についてにも触れておくことにしている。すなわち, 2 次方程式の判別式を D とおくと、
D/4 =1-4=-3<0
であるからこの 2 次方程式は実数解をもたないことについて触れ、その後で x^3=8 の実数解は x=2 だけである。
とする。」
このように言う。それで自分の授業は丁寧なんだという。これは、x^3=8 の実数解が x=2 だけであるというのは自明ではないという立場である。

しかし、何かおかしくはないか? なぜなら 3 乗根 a の記号は、実数 a については、x^3=a となる x は「ただ一つ存在」し、それを 3 乗根とよぶということは認めているではないか。すなわち 3 乗根の記号を使っているということは、x^3=a を満たす x は一つしかないということをすでに認めているではないか。

これ以外にも、個人的には、数学 III で x>sin x であることを示せといわれたときに、f(x)=x-sin x とおいて f(x) を微分するのはやめてもらいたいと思う。

This entry was posted on 金曜日, 12月 31st, 2010 at 12:00 AM and is filed under 数学. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

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