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「躾」と「押し付け」

 物事の丁寧(?)な、あるいは上品な表現として「お」をつけることがある。例えば、「洋服」に対して「お洋服」, 「部屋」に対して「お部屋」, 「トイレに行ってくる」に対し「おトイレに行ってくる」などと言うと少し上品な感じがする。一方で、この「お」は上品な振りをする道具としても使われ、その使い方として、未熟な人が慣れない感じで無理に(「お」を)つけるという人も一定の割合はいるような気がする。
 この「お」をつけることによって特別の意味をもつものもある。代表的なものは「お受験」だろう。「お受験」は大都市以外の方には聞き馴染みのない言葉かもしれないが、小学校受験のことを指して使われることがある。
 「お」をつけることは悪いことだというつもりはない。むしろ正しい使い方さえすれば、その場を良い雰囲気にする効果はある。しかしながら、親が小学生、中学生、高校生の子供に対して「お」をつけるときはちょっと不気味なときもある。自分の子に対して
  「●●君。お勉強は?」
  「●●ちゃん。学校から頂いたお連絡帳は何か書かれていないの?」
  「●●君、今日のお授業は理解できたの?」
  「●●ちゃん。お鉛筆はきちんとお削りになっていますか?」
などを聞く。また、親同士の会話の中の「お」にも不気味なものがあることもある。「おたくのお子さんのお成績はおいかがでしたか?」には3つの「お」があるが、この中にはちょっとドキッとしているか、攻められている感じがするものもある。そう、この「お」をつけることによって言われた方が攻められている感じをもつことがあると感じるのは私だけであろうか? このような「お」は、私個人の感覚としては、親が子供プライベートな世界に入り込んで(攻めて)行き、子供に対して干渉を深めている印象もなくはない。
 このような親は子供の内なる心部、子供が踏みこまれたくないエリアに攻めて行っても攻めた自覚はない。しかし、子供にとっては「お」をつけることによって重く感じることもある。言い方を変えると「お」をたくさんつける親は「躾」と称して、子供の触れられたくない部分に入れ混んでいく場合もある。このような場合、子供にとっては「躾」は「しつけ」でなく「おしつけ」である。小さな子ほど「躾」というのは大切であるが、「躾」が「押し付け」にならないように気をつけたいと思う。

This entry was posted on 水曜日, 2月 26th, 2014 at 4:42 PM and is filed under 教育. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

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