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やっぱり数学の基本は

よく、「数学は計算じゃない」などと言う人もいるが、やはり試験場では計算力があるかないかは非常に大きい。

計算力という場合、
「多項式を整理する」とか「2次方程式を正しく解く」あるいは、「与えられた関数を微分する」
のように、「決められた手順を間違いなくこなす」というものを想定する人も多いが、もちろんこれだけではない。

例えば、極限 lim(x→0) sin 3x/x を求めるときは、

lim(x→0) sin 3x/x =lim(x→0)sin 3x/3x ×3

のように変形するが、このように

(与えられた式)= (作りたい式)×(調整部分)

のように変形することも計算力である。(作りたい式) というのが念頭にあり、それに向かっていくという計算力である。
そして、よく言われているように
(A) いくら正しいことを考えても、計算ミスをすると正解に達しない
(B) 計算力があれば、最短ルートの解法でなくとも、正解に達することができる
も忘れてはならない。

教室での生徒からの質問で、解法 A と解法 B がある問題で
「なぜこの場合は解法 A を選ぶのですか?」(★)
のように質問は多々ある。
それは、もちろん経験というものがあるからという理由もあるが、
「頭の中で、数手先まで計算してあるから」
ということもよくある。逆に、(★)のような質問をする生徒は計算力がない生徒であるが、本人は計算をあまく見ているか、計算力がないことを自覚していないのが大半である。
複数の解法があるときに、適切な解法を選べるためには、私の著書「数学の計算革命」にも触れてあるが、数式計算の「暗算力」を鍛えなければならない。
(どのように鍛えるとよいかは、「数学の計算革命」の中に説明がある)
計算力のない人は、上の(★)のような質問をするとき、よく何か「目印」のようなものがあって、どこを見ればすぐにわかるものなのかを聞いて来るが、(実際そのようなこともあることはあるが)、そういうことではない。

高校数学の計算は「因数分解」「平方完成」「部分分数分解」・・・・とあげるとおよそ 30 ~ 40 程度の計算をマスターしなければならないが、
計算方法を覚えただけでは不足で、ある程度は「頭の中でできる計算」にしなければならない。

今、これを冬期講習の講座として提案しているのだが、理解がないか、しがらみがあるかで実現しない可能性もあるので、そうなれば、こちらを使って web 上で講座を開こうかと考えている。

This entry was posted on 日曜日, 6月 17th, 2012 at 12:05 AM and is filed under 教育, 数学. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can leave a response, or trackback from your own site.

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